Found my number in his phone then I press delete

大体一年ほど前に勢いで購入したホームベーカリーを使って初めてピザ生地を作った。最近のホームベーカリーの使用状況はといえばプレーンな食パンを焼くのみで、それ以外の時間はただただ置物と化しているので、ホームベーカリーにとっても気分転換になったのではないかと思う。

 

なぜいきなりピザなんて作ることになったかというと、たまたま家族の休日が重なり、い人が揃っているからピザを焼こうと母親が提案したのだった。

 

結果としてピザは美味しく焼けたし、ホームベーカリーを活用するのはとてもいいなと再確認した。ただ、家族団欒というものが嫌いな私は、やっぱり家族団欒って嫌いだなと思った。

 

幼い頃から家族が集まる場所が苦手だった。与えられている役割は明確で、自分でもそれを理解しているのに、どうしてもその役目を果たすことができなくてただひたすらにやるせなくなる。役目を果たそうとすると走って逃げたくなる。それは私が幼い頃入退院を繰り返して病室で一人でいることが多かったことが理由かもしれないし、既に死んでいるおじいちゃんが亭主関白ヅラするのが鼻についたからかもしれないし、たまに情緒不安定なおばあちゃんが元旦から「そんなに私のことが嫌いならこれで刺せ」とおじいちゃんに包丁を差し出したりする環境に居たからかもしれないし、親が離婚しているからかもしれないし、離婚する前は喧嘩が絶えなかったからかもしれない。何はともあれ、とにかく家族団欒の空間に耐えられない。別に家族のことが嫌いなわけではなくて、家族団欒が嫌いで仕方ないのである。そう考えると、何の問題もない家庭で育っていても家族団欒アレルギーの人間になっていた気がするけれど(何の問題もない家庭などあるのか?)。

 

家族団欒と同じように嫌いなもの。塩素の匂いのする湿っぽいプールの更衣室と、ひとつの部屋で複数人の人間が寝ている深夜。身体の内側にカビが生えるような、恐ろしくて居心地の悪いところ。

 

早く走って逃げなくてはならない。